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いま、山へ向かう理由

更新日:2021年8月18日

長い年月を山小屋で過ごしたわけではないし、まして登山家でもない、ただ山が好きな僕が、よもや山のことで文章を書くなど考えてもみなかったことで─。

だから、あらかじめ白状しておくならば、『山と人』には、山についての専門性向上をそもそもの目的にしたようなことって、特に書いてないんですよね。そういう意味では、少なくとも、山に登るために必要な本ではない。

けれども、そんな本によって、人が「山へ向かう」ということがあっても良いと思うんです。


日常と地続きでありながらどこか非日常性を感じる山によってふと日常というものを振り返ることがあるように、日常と地続きでありながらどこか非日常性を感じる文章によってふと日常というものを振り返ることがあるような─。はじめて感じたようであり、ずっと前から知っていたことを思い出すような─。忘れかけていた場所への旅の途中のような。


「山へ向かう」というのは、そういうところがあると思うんです。

人にとっての山というのは─。



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